東日本大震災後の地域づくりに震災遺構を保存できた要因: 仙台市立荒浜小学校と荒浜地区の住宅基礎群を事例として

摘要

今日、東日本大震災の被災地では、大津波の脅威を伝える多くの建物が解体され、保存された震災遺構は数えるほどとなった。未来の人の命を守るために、どうすればこの震災の記憶と経験を後世へ伝えられるであろうか。本研究は、誰がどの様に震災遺構の保存を決めてきたか、そのプロセスと保存できた内的・外的要因について明らかにすることを目的とする。調査対象は、仙台市立荒浜小学校（荒浜小と略す）と荒浜地区の住宅基礎群とする（図1）。調査は、2018 年9 月から荒浜小等の保存に携わる仙台市職員に聴き取りと実地調査を行った。質問事項は、①荒浜小等の保存経緯と地元の意向、②荒浜小の概要と保存の初期整備費、③荒浜小の来館者数である。現地で収集した文献・資料と朝日新聞記事データベース聞蔵Ⅱの記事を参照（文末に記載）し、考察していく。