四川省元・明代の吹放付三間堂について中国西南地方の寺廟建築の研究（９）

摘要

今回取り上げた花林寺大殿、永安寺大殿、五龍廟文昌閣と文星廟正殿は、いずれも単層入母屋造、瓦葺、吹放付三間の小堂であり、その特徴は次のように纏められる。①平面は、いずれも略正方形であり、桁行の中間は両脇間の約2 倍にとり、身舎部分の空間を広く取る傾向がある。②斗栱は4 棟とも正面1 列目柱（花林寺大殿と永安寺大殿は1 と2 列目）を低くして、柱上と中備に二手先或いは三手先斗栱を用い、両側背面に一手先斗栱或いは持出梁を使い、簡略化する。③仏堂の間架の距離は一般的に同じであるが、吹放付の場合、一架椽の幅を他より広く取って、外庇の空間を確保し、柱頂に二手・三手先斗栱を用いたため、柱高を下げる点に特徴がある。