二酸化炭素の多方向拡散過程によるコンクリートの中性化進行過程の可視化（その７）: 半球型拡散における二酸化炭素濃度の経時変化の影響

摘要

コンクリートの中性化は、強アルカリ性に基づく内部鉄筋に対する防食機能の低下現象として、一般大気環境下での鉄筋コンクリート（RC）部材の耐久性に重要な影響を持ち、内部鉄筋の腐食とともに、鉄筋コンクリート造建築物の物理的寿命の設定の基礎となっている。そのメカニズムに関する先人の優れた論文もある。物理的寿命の合理的な設定については、原点に戻って、コンクリートの中性化機構についての深い理解も必要であると考えられる。このために、視点を変えて、二酸化炭素（CO_2）の多方向拡散によるコンクリート中性化進行過程の可視化を試み、いくつかの事例について新しい知見を得た。前回は、半球型拡散について、報告した。他方、中性化進行に及ぼすCO_2の物質量濃度の影響については、いくつかの先駆的な研究例もあるが、必ずしも、十分な理解があるわけではない。それ故、今回は、先に行った、円筒型拡散におけるCO_2 の物質量濃度の経時変化の影響に続いて、半球型拡散における場合についても、CO_2 の物質量濃度の経時変化の影響の検討を行い、実りある研究成果が得られたので、報告を行う。