Gordon Matta-Clark の空間の捉え方に関する研究：〈Building Cut〉の写真作品と３次元モデルを活用した分析を通して

摘要

Gordon Matta-Clark（以下、マッタ＝クラーク）は、都市再開発が進む1970 年代のニューヨークで活躍したアーティストである。コーネル大学建築学科出身で、サイト・スペシフィックな性質を持つ作品制作や活動を数多くおこなっていた。特に《Splitting》や《Circus or Caribbean Orange》（以下、《Circus》）など、建物を切断した〈Building Cut〉は最も有名である。〈Building Cut〉は一般的な空間認識の概念を揺さぶるような空間を作り出そうとしていたものである。彼の作品は〈Building Cut〉においても制作に使用されたほとhどの建物が取り壊され、現存していない。それらの作品を現在にまで伝えるものは、〈Building Cut〉とともに制作された写真作品と文書などのドキュメンテーションに限られる。