地方都市における市街化区域内農地の利用とその要因に関する研究

摘要

近年、人口減少・少子高齢化が進む我が国では、特に地方都市において、市街化区域が現状に対し広域に指定されたことに起因する市街化の遅れや、中心市街地の空洞化に伴う郊外スプロールが顕著である。そのため集約化が図られているが、その際、残された市街化区域内農地の整備手法の確立が求められている。区域区分制度導入後、市街化区域は概ね10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされ、市街化区域内農地は宅地化や都市的土地利用への転換が図られてきた。しかしながら、近年では都市農業振興基本法の成立や都市緑地法の改正、また、農地と調和した住環境づくりに向けた13番目の用途地域として田園住居地域が創設されたことなど、市街化区域内農地を巡る方針は大きな転換期を迎えている。さらに、市街化区域内農地の研究は三大都市圏を中心に行われており、地方都市においても保全と活用を視野に入れ、市街化区域内農地の位置づけを検討し直す必要がある。