来山式手織中継織機の記録と継承: 藺草栽培を通じた備後表の生産・流通・設計・施工プロセスの解明 その 4

摘要

本稿は、「藺草栽培を通じた備後表の生産・流通・設計・施工プロセスの解明」と題する研究の一環である。備後地域伝統の中継表の製織技術継承と織機保全のため、来山淳平氏が1993 年に製作した手織中継織機を対象として、その記録と継承を目的とする。本研究その2, 3 では、中継織の技術史について論じ、備後表保全におけるその位置づけについて考察した。中継織は、比較的短い藺草の穂先を継いで畳表を織るもので、備後地域で発祥し、独自に発展、継承された技術である。藺草の良質な部分だけを使った中継表の登場で、備後表が他と比して特定される高品質なものとなり、最高級畳表の名声を得るために重要な役割を果たした。