長屋の空間構成と保護する価値に関する考察: 中国浙江省寧波市雁村を事例として

摘要

本稿で扱う「長屋」とは、独立して建てられた細長い住居用建築物とし、桁行が張間の4 〜5 倍以上に至るものと定義する。こうした長屋は、住居建築物の一形式として、例えばアジアをはじめ、カナダやヨーロッパなど世界各地で古くから建築されてきた。建築的構成も多種多様であり、利用方法から見ても、一家族から複数の家族で居住する他、日本の長屋の様に集合住宅として利用される場合や、公共施設として使われる例もある。以上を踏まえ、本稿では中国浙江省寧波市雁村の長屋を事例に、その空間的特徴、利用実態、形成要因を理解することから、当該長屋を保護する価値について考察を行う。