愛知県内児童館の施設整備・利用状況：環境行動調査にもとづく児童館の建築計画の研究(その1)

摘要

現在わが国では、共働き世帯の増加など家族形態の変化により、児童の居場所を確保することが急務となっている。さらに地域とのつながりの希薄化による子育て家庭の孤立が指摘されており、社会的な育児支援が望まれている。特に放課後の児童の居場所としては放課後児童クラブ(学童)があるが、親の勤務状況や登録制度といった利用への制限がある。児童館は１８歳までの全ての児童を対象とした自由度の高い施設であり、厚生労働省の設置運営要綱では、事業内容として放課後児童の育成・指導や子育て家庭への相談等が掲げられている。すなわち児童館は児童の為だけではなく広く開かれた地域施設であり、児童に関する諸問題や地域のニーズに応えうる可能性がある。児童館は他の児童関連施設とは異なる自由さや多様さがあり、特有の活動が発生していると想定でき、利用者の行動にもとづいた研究が必要である。しかしながら、既往研究や児童館ガイドラインにおいても児童館の計画、設計を行なっていく上で参考になるような、整理された知見が得られていない。そこで本研究では、自治体の持つ施設データの分析により、施設整備状況や利用状況を捉え、そして次稿で行動観察調査により、児童館の利用実態を把握し活動の特徴を明らかにする。