ジュゼッペ・テラーニの集合住宅デザインに関する研究: 「フレーム」の構成を中心にして

摘要

本研究は、イタリア合理主義の建築家、ジュゼッペ・テラーニ(Giuseppe Terragni 1904-1943) の集合住宅作品を取り上げ、そのデザインを「フレーム」の構成を中心にして分析をするものである。テラーニはコモではノヴォコムン集合住宅以降、またミラノでも1933 年から集合住宅を集中的に設計しており、1926 年グルッポ7 は、雑誌「ラセーニャ・イタリアーナ」での声明『建築Ⅳ』において、「後者（コンクリート） のもつ新しい可能性（大きな張り出し、広い開口、ガラス面、それから生ずる表面の価値、水平の積層性、細い柱など） は、必然的に、伝統的なそれとは異なった新しい美学を派生せしめないではおかない。( 後略)」3 としており、ファサードの構成を重視していたことが伺える。本研究ではテラーニが設計した集合住宅の全8 作品を取り上げ、住棟ファサードを中心に分析を行い、その形態的特徴を明らかにする。