港北ニュータウンにおけるニホンアカガエルを指標とした市街地内谷戸環境の評価

摘要

谷戸低地と接する斜面樹林の林縁部分の、特に緩やかな南向き斜面の草地は、土壌炭素含有率が高く、湧き水が湧出しやすい場所でもあるため、土壌中の体積含水率が高く維持された。その結果、特に北向きの傾斜の15°以上の斜面のように土壌の乾燥化が進hでササ類が繁茂せずに、ある程度照度が保たれ、30cm 以下の丈の低い林床の草本やつる性植物の被度が高く維持され、都市緑地に残された谷戸において対象種の生息適性が高い環境となっていると推定された。このニホンアカガエルが非繁殖期に主な生息場とする湿地・草地の維持のためには、ある程度の明るさを確保する一方、水辺と一体的にその集水域となる斜面林を維持し、隠れ場所を確保するため、高木の伐採や林床の草刈り強度を抑えた管理活動が求められると考えられた。