地方都市中心市街地の持続可能性に向けた防災建築街区等の更新に関する研究　その２　区画の変遷について

摘要

本研究では、地方都市の持続可能性に向けて静岡市と浜松市の防災建築街区等に着目し、その区画の変遷を比較し、これらの建物が歴史的な都市構成を継承していることを確認した。　静岡市呉服町の防火建築帯の建設時の主旨には、近傍の百貨店である田中屋（現伊勢丹）に対して「横のデパート」をつくるという目標のもと、路面店を連続させる構成がとられ、その考えは紺屋町の防災建築街区にまで延長された。また、車道を一車線として、歩道幅を確保し、通りを挟hで往き来しやすい構成となり、さらに背割り道路による斜線制限が沿道沿いの建物高さを中・低層におさえることとなり、これらが相まって現在の賑わいが創出されていると思われる。一方、浜松では、戦災復興による都市計画道路の設定とその拡幅、防火地域の指定など、市中心部の都市計画変革期を経る中で、事業者と住民の調整に長い時間を有した上、多くが実行されず、分散型の建設に繋がり、このことが連続性に欠ける景観となっていったと思われる。