旧熊本逓信病院の躯体物性の実態調査

摘要

旧熊本逓信病院の実態調査により、以下の知見を得ることができた。当時の関係者による設計仕様選定の的確さと、施工品質の高さが実証された結果となった。1.強度、中性化、塩化物調査の結果から躯体の材料と施工品質は健全であることが確認出来た。2.新築時仕様である内装の漆喰とモルタル仕上げが、供用期間を通じ劣化抑制に効果を発揮した。3.外装モザイクタイルの殆どが、地震時の剥落を除き、現在も健全に維持されていることが確認できた。高度経済成長期の建物は、著名な建物でも機能の陳腐化や再開発等が理由で撤去される事例が増えているため、３Ｄ化等新しい技術を試行しつつ、実態調査により品質を定量化する取り組みを続ける。