平昌冬季五輪における競技会場・施設の招致から開催に至る変遷主会場である平昌五輪プラザと江陵五輪パークをケーススタディとして

摘要

平昌五輪は大会ビジョンとして「アジアのウインタースポーツのハブ」になることを目指した。また、韓国政府の「第3 次国家総合領土計画(2000-2020) 」などに基づいた江原道を東西3 都市をつなぐウインタースポーツベルト構想という地域開発の起爆剤とし五輪開催を位置付けていた。しかし、中心である平昌からの距離をIOC に指摘されると、ウインタースポーツベルトの一端を担い、江原道最大都市である原州市を2014 年招致案から除外した。そして、平昌郡と江陵市に競技会場を集中させる2つのクラスター案へと変更し、2018 年招致で五輪を獲得する。しかし、招致決定後も大会運営などIOC の求める基準から、開閉会式しか使用しない五輪スタジアムを生み出した。また、隣接した3 か所の氷上系競技会場を大会後も使用するなど、当初、江原道全域を想定していた地域開発から大幅の変更をしている。本研究では平昌五輪をケーススタディとして競技会場・施設の招致から開催に至る変遷を明らかにした。今後、五輪を契機に地域開発を目指す開催都市の有効なレガシー計画を策定する際の参照になれば幸いである。本研究はJSPS 科研費16H02382 の助成を受けたものです。