麗水地域在来民家の時期別変化に関する研究: 架構の構成と寸法を中心に

摘要

本稿における在来民家とは麗水地域で1960 年代まで建築された民家の中で、在来の材料と工法で建てられた民家を指す。在来民家を対象に時期別変化の様相を調査分析した結果、民家の架構構成と寸法において時期①（1910 年以前）と時期②（1910/20 年代）で比較的目立つ変化が確認された。時期②は1876 年開港以降本格的近代化に突入した1910 年を起点とする時期である。近代期を中心に韓国の在来民家が時期的にどのような変化の様相をみせるか、学術的究明がされていない中で、本稿で区分した時期①と時期②の区分で時期別変化が確認された。ただ、1930 年以前の民家の事例が相対的に少ないことで今後事例数の確保が必要である。特に建築年度が特定できない事例において様式等の比定により選定する方法も考慮する余地があると考える。今後の課題としたい。