「平面による構成」のデザインと構造の関係RC 厚肉床壁構造によるデザイン代に関する基礎的研究

摘要

RC 厚肉床壁構造は、耐震壁とフラットスラブから構成される構造形式であり、自由な平面計画や開放的な空間の実現を可能とする。しかし、日本ではこの構造形式の設計手法が十分に確立されていないため、RC ラーメン構造などの計算基準が準用されている。RC 厚肉床壁構造の設計手法の確立に向けて、構造的な制約がどのくらい緩和でき、建築デザインを許容できるのか、即ち、デザイン代を明らかにする必要がある。ミースのバルセロナ・パビリオンに見られるような垂直・水平の矩形平面を組み合わせて空間を構築する手法、所謂「平面による構成」はこの構造形式と相性が良い。そこで本研究では、「平面による構成」の三次元空間構成実験を実施し、プロトコル分析と制作作品の構造解析を併用することにより、RC厚肉床壁構造の設計における設計者の直感的な応力の認識と実際の構造の安定性との関係について明らかにする。