東海地域の地震記録を用いた観測最大加速度の偶然的不確かさによるばらつきの検討（その１）残差データを用いた偶然的なばらつきの標準偏差の分離

摘要

地震動予測の不確かさを適切にモデル化することは確率論的地震ハザード評価において重要である．地震動予測式を用いた予測では不確かさを対数正規分布によって表現することが多く，その標準偏差は地震動予測式に対する地震記録のばらつきに基づいて設定することが考えられる．ただし，様々な条件の地震記録のばらつきには，偶然的不確かさだけでなく認識論的不確かさによる影響が含まれており，両者を合わせて確率分布によって表現することは適切とは言えない1)．合理的な地震ハザード評価のためには，地震動予測における偶然的不確かさのみを確率分布によって表現し，認識論的不確かさとは分けて扱うことが重要であり2)，そのためには実際の地震記録のばらつきから偶然的不確かさによる影響のみを把握することが重要である．本報では東海地域の地中地震記録を用いて，既往研究3)に倣い偶然的不確かさによる最大加速度振幅のばらつきの評価を行った．