海陸宇宙複合観測網による地殻変動準備過程および 地下流動の検知・監視技術の開発

摘要

房総半島南部は元禄関東大地震や約5 年間隔で発生するslowslip の震源域である．また2011 年東北地震以降，銚子付近等の地震活動も活発化している．千葉大学の南房総ULF 電磁場観測点網はslowslip 域近傍にあり，2002 年と2007 年のslowslip イベントでは異常変動を記録し，波形解析やシミュレーションの結果，地下流動に起因する変動であることがわかった。また11 年間の統計解析により地震に先行してULF 磁場強度が有意に増加することがわかった。また，電離圏電子数変動の統計解析では，本州地域では地震の前5 日間に総電子数が有意に増加することがわかった。そこで本研究では，震源域に近い海域，陸域および空域（宇宙）からのシームレスの世界初の複合観測を展開する．加えて室内実験や計算機実験等を行い，観測された電磁場異常変動と地殻変動との関係を観測学的/実証論的に検証し，その発生機構を解明し，地震準備過程や地下流動を監視する手法を開発することである．