侵入型元素Nを添加されたFe及びFeCo薄膜へのV添加によるbct構造安定化

摘要

FeCoへのV添加がbet構造の安定性に及ぼす影響を調べるために、Nを含有するFeへのV添加と、Nを含有するFeCoへのV添加の実験を行った。まず、V未添加のFeNとV添加のFeVNの結晶構造を比較したところ、シリーズ中で最もbct構造に近かった試料の軸比c/aの値は、前者ではc/a≈1.02,後者ではc/a=1.11と、前者のVを添加したFeの方がbct構造が安定化した。次いで、V未添加のFeCoNとV添加のFeCoVNの結晶構造を比較したところ、シリーズ中で最もbct構造に近かった試料の軸比c/aの値は、前者ではc/a≈1.04、後者ではc/a=1.25と、こちらでもVを添加したFeCoの方がbct構造が安定化した。以上より、Nを含有するFe並びにFeCoへのV添加は、bct構造を安定化する効果があることがわかった。また、VとNの同時添加によるbct化を狙う場合には、純FeよりもCoを含有するFeの方が理想的な軸比（c/a=1.25)に近づくことから、Coの含有も重要であることがわかった。