高速駆動型のハルバッハ配列界磁型同期電動機を対象とする 位置センサレス制御システムの検討

摘要

永久磁石型同期電動機（以下，PMSM)は可変速範囲が広く，高性能•高効率な電動機であるが，トルクリップルによる振動や騒音がしばし問題となっている。この問題に対して数多くの研究報告がされており，ー例として界磁にハルバッハ配列を用いたコアレス同期電動機が検討されている。ハルバッハ界磁型同期電動機はギヤップ中に正弦波状の磁束密度分布が得られるため，誘起電圧も正弦波状となる。したがって上記問題の抜本的な解決ができるだけでなく，誘起電圧を推定するオブザーバを用いることで高調波対策が不要で高精度な位置センサレス制御の実現も可能である。すなわち単純な構成で位置センサレスべクトル制御が可能となり，埋込磁石型同期電動機（IPMSM)と比較して高速駆動が期待できる。先行研究における駆動試験では，高速な制御装置を用いることで駆動周波数500 [Hz]での運転を実現した。しかしながら制御パラメータ等の設計が不十分であったため定格駆動周波数での運転は実現できていない。