金属被覆した不織布の平面電磁波吸収機構に関する検討

摘要

プリント基板やケーブルなどで生じる予期せぬ電磁ノイズ対策として薄く，軽量で柔軟性に優れた高抵抗の非磁性金属を被覆した不織布を用いたノイズ抑制シートが提案されている.本研究は，金属被覆した不織布に5.38-40GHzの平面電磁波を垂直に入射した場合の電磁波吸収特性を測定，解析し，その機構を検討した.まず，不織布のシート抵抗を2端子法で測定し，不織布の繊維方向によってシート抵抗が異なることを示した.次に，方形導波管内に垂直に不織布を配置した場合の電磁波吸収特性を測定•評価し，不織布の繊維方向と電磁波の電界方向のなす角度によって異なる吸収特性を持つことを示した.また，不織布を，面内異方性のあるシート抵抗値を持つ連続導体としてモデル化し，その吸収特性をシェルクノフの式を用いて算出した.計算結果と実験結果の傾向が一致したことから，金属被覆した不織布による電磁波吸収の要因が異方性のあるシート抵抗より生じるジュール損失であることを示すとともに，不織布を連続導体としてモデル化できる可能性を示した.