関東の住宅における窓•エアコン使用の状況と着衣量の関係性に関する分析

摘要

本研究では、住宅における4年間にわたる温熱環境の測定結果と居住者の熱的主観申告•環境調整行動の調査結果を用いて、着衣量に着目して統計分析を行った。その結果、以下のことがわかった。1. 主者の着衣量は年間を通して変動していた。ただし、暑い夏や寒い冬では着衣量は一定傾向があり、これは居住者が調整可能な着衣量の上限と下限と考えられる。その変動幅は男性で約0.55clo、女性で約0.66cloであり、これはFRモードのみの変動幅と同等である。2. 年間を通して、女性の方が男性よりも着衣量は高く、冬季には男女差が大きくなる傾向であった。3. 室内外気温が高い季節と比べて、低い季節の方が着衣量のエラーバーが大きかった。夏季よりも冬季の方が着衣量の個人差が大きくなると考えられる。4. 室内外気温を説明変数とするモデル化を行う時、FRモードでは着衣量の上下限を考慮して、季節変動に応じた着衣量モデルを算出する必要がある。一方、エアコン冷暖房使用時については、どの室内外気温帯でも同等の着衣量で推移する傾向がある。男性の場合では、冷房使用時の室内気温が28°C以下よりも29°C以上の方が着衣量は約0.1clo高い傾向であった。これは、冷房使用開始直後からある程度経過するにつれて、着衣量が増加した可能性が示唆された。このことから、冷房使用時の着衣量は時間経過による変動も加味することの重要性を示唆した。