自己効力感の向上を促すTA支援システムの研究

摘要

大学の講義において，学生への助言や演習の補助を行うTeaching Assistant(以下，TA) が導入されている．学生が各自で演習に取り組む講義では，TA は学生からの質問に対応するだけでなく，自ら学生に声掛けを行うことも重要である．TA は講義中の経験から，学生への対応の仕方や，声掛けを行うべき学生の判断基準を学習する必要がある．Kolb の経験学習モデルによると，経験から学習するためには，自身の経験を振り返る必要がある．しかし経験の浅いTA が，失敗したと感じる経験を振り返ることで，TA としての自信を失い，講義中に積極的に行動することが難しくなる可能性がある．TA が講義中に積極的に行動するためには，TAの自己効力感を向上させることが重要であると考えられる．自己効力感はBandura によって提唱された概念である．自己効力感が高くなることで，人はある結果に至るために必要な行動を実行する可能性が高くなると予想される．