XRAIN 雨量情報による令和元年台風第19 号雨量解析

摘要

令和元年（2019 年）10 月12 日に大型で強い勢力で伊豆半島に上陸した台風第19 号は、広い範囲にわたり記録的な大雨をもたらした。静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県の13 都県に、10 日からの総雨量は神奈川県箱根で1000mm に達し、17 地点で500mmを超えた。10 月16 日時点で、68 河川125 か所で堤防が決壊し、16 都県の、のべ262 河川で越水等による氾濫が発生し、２万棟以上の住宅が浸水し、77 名の死亡が確認されている。なお、被害の全容はまだ把握されておらず、台風後の大雨により、被害はさらに拡大した。（気象庁,2019）このような増加する集中豪雨や局所的な大雨（ゲリラ豪雨）による水害や土砂災害等に対して、適切な河川管理や防災活動等に役立てるために、国土交通省では、集中豪雨や局所的な雨量をほぼリアルタイムに観測可能な高性能レーダ雨量計ネットワーク（XRAIN：eXtended RAdarInformation Network）の整備を進めている。従来のC-band レーダ雨量計を高性能化（MP 化: multiparameter）し、X-band MP レーダ雨量計と組み合せることにより強雨域で欠測が生じにくい安定した雨量観測が可能である。