5G 高度化に向けた多様なサービス品質を考慮したフロー制御方式の検討

摘要

カーなどの様々なデバイスがネットワークに接続されることから，多様なQoS 要求を持つアプリケーションのトラフィックを収容することが求められる．筆者らは，高度5G ネットワークにおける多様なサービス要求に応じた高信頼な制御技術の実現を目指し研究開発を行っている[1]．QoS 要求の多様化の一つの形態として，本稿では，一つのアプリケーションのトラフィックが本質的にQoS 要求の異なる複数のフローから構成される場合を想定する．そのようなアプリケーション例として，段階的に品質を向上可能なコーデックを用いたビデオ配信[2] が挙げられる．具体的には，動画データ全体が，動画の視聴に最低限必要なデータを送信するフロー（以下，基本フロー）と，基本フローを受信した上で，さらに受信できた場合に視聴品質を向上可能なデータを送信するフロー（以下，拡張フロー）の2 種類のフローにより構成されている場合を考える．フロー識別の方法として既存方式においてよく用いられるものとして，IP アドレスやポート番号等の5 種類の情報に基づくものが挙げられるが，基本フローと拡張フローの両方を同一ポート番号により送信している場合，トラフィック全体が単一のフローとして識別されるため，個々のフローに対するQoS 要求を考慮することが困難となる．本稿では，この5 種類に加え，IP ヘッダのToS（Type of Service）フィールドを用いて，基本フローと拡張フローを個別に識別する場合を想定し，各フローに対し個別に無線リソースを割り当てることで，一定水準の視聴品質を満足可能なユーザ数を向上するフロー制御方式について基礎検討を行った結果を報告する．