非医療従事者の一次救命の不確実性をふまえたAED・サインの適正配置

摘要

今日の日本は超高齢化社会を迎えようとしており、各医療機関が救急医療環境の充実化に向けた多様な取り組みを検討・実施している。しかしそれと同時に、医療従事者のみによる救急医療の対応の限界と、「非」医療従事者の自助・共助の重要性が指摘されている。それらの一例に突発性心停止が挙げられる。突発性心停止は加齢と共に発症のリスクが高まり、処置の精度よりも発症から処置開始までの時間が予後に強い影響を与えることが指摘されている症例である。そのため、「非」医療従事者による一次救命（FirstAid）による要救助者の救命の重要性が高まっている。しかし、「非」医療従事者の一次救命には「不確実性」が含まれる。不確実性の例として、「非」医療従事者が要救助者が発生した現場に遭遇するかどうかや一次救命を行う技能や意思を有しているか、AED の場所を知っているかなどが挙げられる。それらの「非」医療従事者の不確実性を踏まえた上で、AED を用いた充実した救急医療環境を構築する計画論が不十分であるという側面もある※ 1 ※ 2。