単線トンネルの側壁コンクリートに生じた劣化原因に関する一考察

摘要

大正初期（1916 年）に完成した単線山岳トンネルで、側壁コンクリートのセメント分が軟化し、表面の剥落が生じている。その変状はトンネル左側壁のみであり、右側壁にはみられない。また、左側壁でも劣化程度にばらつきがある。本報告では、変状原因推定のために実施した各種調査結果についてまとめた。当該トンネルは上下線別の単線トンネルであり、変状が確認されている上線は1916 年に供用を開始した延長444.0m の山岳トンネルである。変状が確認されていない下線は1890 年に完成している。上下線ともに構造はアーチ部がレンガ、側壁部が無筋コンクリートで構成されている（写真-1、図-1）。下線は、電化に伴い側壁の打ち替えを行っているが、当該の上線はしゅh功時より側壁は無筋コンクリート造である。