世界28 メガシティを対象とした都市構造や地理・気候条件がヒートアイランド現象に及ぼす影響評価

摘要

現在，都市化による気温の長期的な上昇傾向が確認されており，睡眠障害の増加など，都市の熱環境の変化による被害も報告されている．人工排熱や地表面被覆の変化など，都市化に伴う要因がヒートアイランド形成に寄与することは知られているが，同程度の規模の都市でもヒートアイランドの現れ方は様々であり，各地域の地理的な要素や気候的な要素も影響を及ぼしていると考えられる．しかしそのメカニズムや，それぞれの要素との関わりは未だに解明されていないことが多い．そこで，条件の異なる複数の都市を同一基準で比較するには気象シミュレーションが有効であると考えられる．これまでは都市気象計算に必要なデータベースが入手できる都市が限られていたが，近年，都市気象学をグローバル展開する試み1)の中で，全球規模で高解像度人工排熱・建物幾何パラメータデータベースの構築2)3)と，それらを組み込む都市キャノピーモデルの整備が行われ，全球スケールで都市気象計算が可能になりつつある．そこで本研究では，世界のメガシティを対象としてヒートアイランド現象のシミュレーション計算を行い，都市的な要素やその地域の地理条件や気候条件が及ぼす影響を明らかにすることを試みる．