削孔振動を利用した切羽前方クロスホール弾性波トモグラフィ探査の開発

摘要

山岳トンネルの施工条件は,土被りが大きく施工範囲が広域におよぶ事から,設計段階では十分な精度の地質情報を得ることができない．施工時の調査法として,反射法による切羽前方の弾性波探査があるが,その結果は実際の地質状況と異なる場合もあり,危険予知的な利用に留まっている．水谷らは１）,高精度な前方探査手法として，切羽前方クロスホール弾性波トモグラフィを試みた．従来までの本手法は弾性波の起振源として雷管発破を利用しており，振動伝播の為に起振孔へのゲル状充填材の注入や複数の雷管を設置するのに時間を要し,起振方法の改善が求められていた．そこで本取組みでは，施工で用いるドリルジャンボの削孔振動を利用した切羽前方クロスホール弾性波トモグラフィを開発した（図-1）.