トンネル建設現場における肌落ち被害リスクを低減するシステムの基礎的実験

摘要

山岳トンネルの建設現場では，切羽付近において掘削直後の地山の岩盤や土砂が崩れ落ちる「肌落ち」による労働災害が問題となっている．この肌落ち災害は，平成12年以降の10年間で被災者47名のうち6%にあたる3名が死亡し，36%にあたる17名が休業1ヶ月以上となるなど重篤度の高い災害である．この肌落ち災害に対して厚生労働省は「肌落ち災害防止に係るガイドライン」を取りまとめ，切羽付近での作業を行う場合には専任の切羽監視員による監視を義務付けている．しかしながら，監視員による監視では見落とし・見間違いなどの人的ミスが発生することが容易に予見される．加えて，熟練技術者が減少傾向にあることなどの理由から切羽監視員の補助を行い，肌落ち災害を未然に防ぐための監視システムが必要であると考えられる．