熱式MEMS流量センサの呼吸計測応用に関する研究

摘要

センサデバイスを小型化することで，センサの時間・空間分解能が向上する。例えば，デバイス構造の小型化，即ちスケール効果により振動式センサでは固有振動数が高くなり，そして熱式センサでは熱容量が減少し，時間分解能に優れたセンサになる．特に熱式センサは可動部がなく，機械的な信頼性に長けており，その結果，流量センサ構造として，自動車，工場ガス配管など様々な分野で使用されてきた．また近頃では，その用途は医療分野へと広がり，呼吸計測用センサとして活用されつつある(1)．しかしながら一般的な工業用途とは異なり，呼吸計測では気体の速度と向きが時々刻々変化する振動流になるとともに，呼気と吸気とでは計測対象となる気体の温度と湿度が変化する（図 1）．即ち，吸気では外気温湿度の空気を，そして呼気では体温に温められた湿度 100％の気体の流れを計測する．そこで本研究では，熱式 MEMS 流量センサを呼吸量計測へと応用することを目的として，センサ出力に対する温湿度の影響を実験的に評価した．