グルコースをエネルギー源とする空気バイオ電池の高出力化

摘要

バイオ電池は燃料電池の一つで、生物のエネルギー獲得システムに倣い、酵素の触媒反応を介して電気エネルギーを産生する(1)。グルコース等の生体成分をエネルギー源とするため、人体の周りで使用する小型医療機器や体内埋め込み型医療機器への応用が期待されている。既に、生体での利用を目的としたバイオ電池や(2-3)、ヒト血液・涙液中でのin-vitro発電 (4-5)、ラット・昆虫等を用いたin-vivo環境下で駆動可能なバイオ電池の開発が報告されている(6)。しかし、既存のバイオ電池では、カソードにおける反応が溶存酸素にて律速され、発電能力が制限されているといった課題がある(7)。そこで本研究は、バイオ電池の発電特性の向上を目的とし、まずバイオ電池を構成する「電極材料の選定」及び「電極への酵素固定化条件の最適化」を行った後に、大気中から酸素を取り込む「気液隔膜セル」を用いた空気バイオ電池の構築ならびに特性評価を行った。