技術賞/基礎技術部門 機上搭載型ドップラーライダ

摘要

我が国の航空機事故の約半数は，気流の乱れに関 連して発生している.これらの事故は乱気流による 機体の動揺のみで引き起こされたものに限らず，そ こにヒューマンエラーが介在することもあるが，い ずれにしろパイ口ットが乱気流を事前に把握するこ とにより事故が回避される可能性は高レヽ.旅客機へ の搭載が義務化されている気象レーダは，この目的 で有効に活用されているが，気象レーダには晴天時 の乱気流を検知できないという欠点がある.このた め宇宙航空研究開発機構(JAXA)では，機体に搭載し て晴天時に遠方の気流を計測することができるドッ プラーライダー（LIDAR: LIght Detection And Ranging) の研究開発を進めており，観測レンジ拡大を着実に 達成している.2001年度に試作した最初の装置はお よそ1kmの観測レンジであつたが，改良を重ねた結果, 2012年度には旅客機が巡航する10km以上の高度で 5NM (9km)の観測レンジを実証することに成功した. 本報告では小型化に適した方式を採用したドッブラ 一ライダーの高出力化の研究開発について報告する.