細胞内分子質量分析イメージングに向けたエレク卜ロスプレー支援レーザー脱離イオン源の開発

摘要

脂質は細胞内の機能を制御する重要な生体分子であり， アルツハイマーやがhといった難病と深く関係しているこ とが明らかにされている(1)(2)．そのため，細胞内の網羅的な 脂質分析（リピドミタス）はバイオマーカー探索や医薬創 製に向けた重要な研究対象である．近年，脂質のような低 分子をラベルフリーで包括的に分析・イメージングする手法として質量分析イメージング（mass spectrometry imaging; MSI）が注目されている。MSIとは，質量分析装 置を用いて対象試料に含まれる成分とその量を2次元のイ メージ画像としてマッピングする技術である．一般的に， 対象試料はレーザーによつて脱離・イオン化され，発生した イオンを質量分析装置内で質量と電荷の比mlzで分離し， 各成分量を測定する．レーザーは試料内の各位置で走査さ れるため，対象物の位置情報をもったイメージング画像の 構築が可能となる．MSIで用いられるイオン化法はマトリ ックス支援レーザー脱離イオン化（matrix-assisted laser desorption/ionization; MALDI）が主流であり，MALDIは， 対象試料にマトリックスと呼ばれるイオン化補助剤を混合 し，真空下でレーザーを照射することでィオン化を行う．