猪苗代湖の岸際に形成された植物群落下の土壌動物相

摘要

猪苗代湖に流入する最大の河川である長瀬川により、猪苗代湖のpHは5.0 (湖心)の酸性を示していた。それ と共に酸性の長瀬川に起因する凝集塊の効果によりリン の沈殿が起こり、湖内における一次生産が抑制されてき た。しかしながら、昨今湖内のpHは急激に上昇して中性 化が進み、2016年には6.8 (湖心)を示した。このよう な水質の変化は生態系への質的·量的な影響を及ぼして いる。 2015年に行われた調査によると猪苗代湖の水生植物は 偏った分布を示し、特に北岸部の浅水域に広範囲に広がる ことが明らかとされている。この湖沼沿岸に発達する湿地 (湖岸湿地)は、陸域から水域への移行帯であり、独自の 多様な生態系を構成する重要な地域である。この湿地は水 質の維持、水産有用魚種を含めた魚類や底生動物への生息 環境の提供などの様々な生態系サービスをもたらす基盤 である。従って湖岸湿地を適切に管理することで水質の改 善·保全に有用と考えられる。