多段型ろ床を導入したアクアポニックスの水質浄化性能

摘要

アクアポニックスは魚の養殖と植物の水耕栽培を組み合わせ たシステムである。本研究では、人工湿地技術を応用した多段 型ろ床を導入したアクアポニックスを製作し、金魚飼育水で観 葉植物を育成すると同時に処理水を金魚飼育用水として循環 利用する実験を行い、多段型ろ床の水質浄化性能を評価した。 金魚飼育水90Lを入れたタラィを2つ準備し、多段型ろ 床の有無による金魚飼育水質の違いを評価するために、一 方にだけ多段型ろ床を組み合わせた。その概要を図1に示 す。多段型ろ床は5つのろ床で構成され、最上部の1段目 には砂利(粒径5-10mm)、 2~4段目にはゼォライト(粒径 1-1.4mm), 5段目には砂(粒径1-2mm)をろ材として充填 し、それぞれの表層に観葉植物(サルビア、ケィトウ、ガ一 ベラ)を植えた。このような多段型ろ床にタイマー制御し た揚水ポンプで金魚飼育水を汲み上げ、5段のろ床を通過 した水をタライに戻した。1回の揚水量は6.8Lとし、揚水 頻度は2〜4時間に1回とした。蒸発等による減水分を毎 週1回補給して金魚飼育水を一定量に調整後、採水し水質 を評価した。評価項目はCOD、全窒素(T-N)、アンモニア 性窒素(NH_4 ~+_-N)、亜硝酸性窒素(NO_2-N)，、硝酸性窒素(NO_3--N)、全リン、リン酸性リン(PO_4-P)、有機態リンとした。