計量分析による熊本地震と東日本大震災での文化財レスキュー活動の比較

摘要

災害時の文化財レスキュー活動には多種多様な文化財に対して様々な属性の人々が複雑に関わって いる.文化財レスキュー活動の概要を把握するため,熊本地震における文化財レスキュー活動の日報193件の分析を行った.また分析結果を東日本大震災での文化財レスキュー活動日報の場合と比較し た.各震災でレスキュー活動の実態の因子分析を行い因子間の比較を行った結果,熊本地震における ほぼすベての因子が東日本大震災での因子に含まれることが明らかになった.本研究の結果は文化財 レスキュー活動における普遍的なパターンの存在を示唆しており,そのようなパターンを特定し知見 を共有することでより効率的な文化財レスキュー活動が実現できると期待される.