集約画像を用いた歩容認証

摘要

近年，高齢化社会に伴い，高齢者の徘徊が大きな問題となつている.警察庁の調査[1]によると，平成25年から平成29年の間に毎年2万人以上の高齢者が行方不明となっており，その数は増加し続けている.図1は警察庁の発表した資料[1]を基に作成したグラフである.行方不明者数は年々増加しており，平成28年と平成29年においては，25000人以上が行方不明となっている.記憶力の低下や運動機能の低下により，高齢者の徘徊は怪我や事故などに繋がりやすく，最悪の場合には死に至ることもある.このような徘徊高齢者の捜索は，人手で行われことが少なくない.しかしながら，人手での捜索には，多くの時間を有する.また，人手を集めるために協力を依頼する必要があるため，家族や介護側にとって負担となることがある.そこで，街中の監視カメラを利用して自動で捜索することが有用であると考えられる.監視カメラの映像を用いることで，迅速な捜索が期待できる.また，人手を集める必要がなくなるため，家族や介護側にとつての負担が軽減されると考えられる.しかしながら，映像からの捜索では，対象人物かどうかの判定が難しいという課題が存在する.そのため，監視カメラの映像を用いて捜索する場合，映像から個人を識別する手法を確立する必要がある.