分光学に基づくヒトに優しい医療センシング

摘要

医療センシングにおいては，ヒトに優しい手法であり，かつ疾病を良く説明できる分子を如何に計測できるかが重要なポイントとなる.5-ALAを用いた蛍光分光診断法は，蛍光が強く感度が高いなどの特徴があるが，非特異的な発光による誤診断や，5-ALAの経口投与とその経過時間の正確なコントロールが必要などの課題がある.また，ラマン散乱分光法は，分子振動を介した様々な組織の情報が含まれており，いわばラマン分光学的ビッグデータに基づいて，末梢神経，心筋梗塞のみならず，様々な診断へ応用が可能である.しかし，信号光強度が弱といった問題も有する.今後は，上記の課題を解決していくことで，分子に基づいた病変部や周囲組織の「見える化」を術中に，かつヒトに優しい手法で実現できる医療機器の開発につながつていくと考えられ，今後の医療へ貢献が期待される.