河川·下水処理場の人工甘味料の実態および下水マーカーとしての評価

摘要

人工甘味料(ASs)は低カロリー、少量で甘みが得られコストパフォーマンスが高い等の特徴を持ち、清涼飲料水や菓子類等の様々な食品に利用されている。摂取されたASsの一部は体内で吸収·分解されずに排泄され、下水処理場で完全に除去されず河川へ放出されていることが確認されている。海外の調査例では、ASsのスクラロース(SUC)やアセスルファム(ACE)が河川で数ngL~(-1)～数十μgL~(-1)の濃度で存在することが報告されており、環境リスクに関する議論が進hでいる。また、ASsは生活排水に特異的に含まれ、環境中で安定であり、高い水溶性を持つことから、水環境中で生活排水の混入の有無やその程度を表す下水マーカーとして有用であると考えられている。欧米においては、こうしたASsの環境中での調査事例が多くあるが、日本の河川、下水処理場のASsの実態について調査した例は少ない。そこで本研究では、複数の河川および下水処理場で試料を採取し、ASsの濃度を調査した。また、河川水中のASs濃度と河川の生活排水の混人率の関係を調べ、日本の水環境中でASsが生活排水の混入の程度を示す下水マーカーとして有効であるか検証した。