アンモニゥムジニトラミド/ヒドロキシェチルヒドラジニゥム硝酸塩混合系イオン液体推進剤の特性評価

摘要

我々の研究グループでは、アンモニゥムジニトラミド（ADN)を主剤として、モノメチルァミン硝酸塩（MMAN)と尿素を添加し、共融現象を利用したイオン液体系推進剤（ADN系EILPs)の研究を行ってきた。尿素はADNの熱分解反応を抑制することから、ADNの熱分解反応を促進させ、かつ融点降下能を有するMMANに代わるエネルギー物質の探索が必要であった。そこで、新規エネルギー物質としてヒドロキシェチルヒドラジニゥム硝酸塩（HEHN)に着目した。HEHNの分子構造はADNとの反応性が高く、ADNと異なるイオン種を有するためイオン交換による融点降下が生じると既報から予想された。本研究はHEHNのADN系EILPsの構成成分としての適性を評価することを目的とし、ADNとHEHNから構成されるEILPs(ADN/HEHN)の組成探索と共に、既報で予想された反応性の高さを実際に検証した。組成探索では、特性である融点と比推力を予測し、融点と比推力を統合した相図を作成することで、-40°C以下の融点でかつヒドラジン系より高比推力な高性能ポテンシャルを有する組成を探索した。さらに、ADNとの反応性を検証するためにADNの熱分解反応による発熱量に着目し、示差走査熱量計（DSC)を用いて熱挙動を取得した。