複数種のLCDを配置した半球ドーム型高臨場感ディスプレイシステムの構築手法

摘要

近年、多様な映像コンテンツを高い臨場感で人間に提示しようという研究が盛hに行われている。その映像例として、全天球画像のように水平方向360 度、垂直方向180 度のあらゆる角度から１点にやってくる光線の輝度情報を画像として記録した画像が挙げられる。この全天球画像を撮影する装置として、リコー製のTHETAなどが市販されている。その一方で、その全天球画像をそのまま球状の曲面に提示できる映像装置は限られるほどしか存在しない。そこで筆者は液晶ディスプレイ(以下、LCD と略す) を凹型半球面の内側に多数並べて、タイルドディスプレイの技術を応用して1 枚の高解像度な曲面動画像を映し出す手法を提案した。この手法では、解像度は高くなるものの、LCD 間のわずかな隙間に映像を映すことができず、その隙間を煩わしく感じるという問題点もあった。そこで、この隙間領域を最小化する改良手法を提案した。その一方で、これらの配置手法はあくまでLCD 間の隙間面積を最小にするという評価尺度のみで最適化していたため、実際に画像を映した場合の感性的な評価尺度がまったく加わっていなかった。そこで映像を映した場合の見え方をシミュレートする手法を提案した。その結果から、新たなLCD の配置手法を提案する。