社会資本の維持管理の現状と将来展望

摘要

現在社会資本のストツクは約900兆円と言われている. 少し古いが2003年の資料では，道路が33%,農林漁業 13.5%，上下水道13%,文教施設10. 7%,治水関係10% と試算されている.これだけ膨大な社会資本をいかにし て持続的に維持管理していくかが喫緊の課題である.道 路橋に限れば，架設後50年以上経過する橋梁の割合が 2009年には8%であったものが，2019年には25%, 2029 年には51%になると予想されている.このような背景を 受け，笹子トンネルの事故もあり，2015年7月の道路法 の改正により，スパン2 メートル以上の橋すべてについ て，5年に1回近接目視による点検が義務づけられた. 我が国には，現在約70万橋のスパン2 メートル以上の 橘があるといわれている.そして，その大部分が市町村 管理の橋である.この道路法の変更を受けて，各自治体 はいま近接目視による点検を実施しつつある.本文では， まず橋梁の維持管理の抱えている課題について述べ，そ の問題点を明らかにする.そして，その解決の可能性に ついて言及し，将来展望とまとめを記す.