Mg合金AZ80から作製したメゾピラーの圧縮試験

摘要

近年，自動車や航空宇宙などの産業分野で燃費改善の 観点から軽量構造材料の需要が高まっている.マグネシウム（Mg)は，実用金属中で最も密度が低く，その合金 は比強度などに優れ，この用途に有望である.Mg合金 は六方最密充填構造(hep)の結晶構造を持ちすベり系が 少ないため，結晶自体に異方性が強いという特徴を持つ. このため，Mg合金の展伸材は製造中に施される塑性加 工により集合組織を生じやすく，バルク体においても機 械的特性に強い異方性を有することが知られている. Mg合金の利用促進のためには，展伸材の異方性につい て理解することが必要である.過去に，Mg合金のバル ク体については多くの実験的研究が行われており，異方 性について得られている知見も多い.さらに最近では， 数μmから十数μm程度の寸法をもつ単結晶のピラー型 試験片（マイクロピラー）を用いた圧縮試験りも行われ ており，結晶方位に依存した強度や変形挙動の異方性, バルク体との違いなども明らかとされつつある.しかし, 単結晶とバルク体の中間的なスケールでの機械的特性 の遷移や，その原因についてはまだ明らかにされていな い.