南海トラフ巨大地震被災時における交通シミュレーションを用いた車両誘導方法の提案

摘要

2011年3月11日に発生した東日本大震災時に避難するにあたり，約 57% の人が最初の避難において自動車を利用し，沿岸部の市街地など避難車両が密集する地域では渋滞が発生し，自動車による避難が困難となる状況が発生している．そして，この状況よりやむを得ず，避難者が道路上に自動車を放置して徒歩で避難する事により，緊急車両等の通行の妨げとなる事態が発生した．震災時の二次被害を低減するためには，速やかに人や車両等が避難可能となるように，平常時から災害発生時の交通状況を理解し，避難行動に関しての検討を行っておく事が必要である．避難行動に関する検討を行う手段の一つとして，シミュレーションが挙げられる．そこで本研究では，マルチエージェントシステム（MAS）の概念を応用し，誰もが簡単に地震災害発生後の交通状況を再現できる避難シミュレーションシステムを開発し，車両による避難の課題と対策について検討を行う．