リン酸基含有タピオ力デンプンとヒドロキシァパタイトからなるカーボンニュートラルなバイオマスハイブリッド機械材料の合成

摘要

当研究室では高靭性と高生分解性、また高生体親和性を兼ね備えたバイオマス機械材料として生体骨に着目している。骨の約70wt%は無機物ヒドロキシァパタイト(HAP: Ca_5(PO_4)_3OH)であり、残りは有機物と水で構成されている。有機物のほとhどがⅠ型コラーゲンであり、ヒドロキシ基を多く含む3重螺旋構造をもったタンパク質である。それ以外にォステオボンチンなどのリン酸化タンパク質もわずかに存在しており、これらのヒドロキシ基、リン酸基とHAPの化学的な相互作用が骨の形成に大きく関与している。このようなバイオミネラリゼーションをモデルにし、すでに共沈法などによりHAPとコラーゲン、糖類、または合成ポリマーなどを複合化させる研究が多く行われている。近年、バイオマスプラスチックとして注目を浴びているデンプンはヒドロキシ基を多く含み、螺旋構造をとるという点でコラーゲンに類似している。また、植物由来であるため、動物由来であるコラーゲンよりも大量生産しゃすく、成形.加工性も高い。そこで本研究ではタピオカデンプン（三和澱粉工業株式会社）とHAPを共沈法により複合化し、より優れた生分解性と生体親和性をもつ高靭性バイオマスハイブリッド機械材料へ利用するため、複合体の無機重量分率、タピオカデンプンのリン酸化、またα化によって複合体成形物の機械的す生質がどのように変化するかを確認した。