ニュートラルレツド染色および画像解析によるカイアシ類Acartia steueriの生死判別法の確立

摘要

海洋生態系において、カイアシ類の二次生産は高次 消費者の生産を支えており、栄養動態を理解する上で、 カイアシ類の二次生産は重要である。しかし、水柱環 境中には生産を行わない死亡個体が存在するため、 正確な二次生産の推定のためには、生死判別を行い、 死亡個体を除く必要がある。生死判別法には、固定試 料の形態を観察して生死を判別する形態観察法と、 ニュートラルレッド（NR)で生存個体を染色して生死 を判別するNR生体染色法がある。しかしこれらの 方法には、明確な基準が無く、観察者の経験にもとづ いて生死を判別するため、測定には熟練を要する。そ こでNR生体染色法に、色の定量が可能な画像解析を応用することで、観察者による結果のバラつきを抑え る事ができると期待される。本研究では、相模湾真鶴港に優占するカイアシ類Acartia steueri (Smirnov, 1932) を用いて、NR生体染色に画像解析を応用した生死判 別法の開発を目的とした。