メタン発酵槽への底泥の投入が発酵効率に及ぼす影響

摘要

水環境における底泥は水質汚染の要因のーつであり、富栄養化や悪臭などを引き起こす。一部の水域では浚渫などの対策が行われているものの、底泥処分場の立地制限や周辺地域との合意形成の問題から解決には至っていないケースも多い。このような状況の中、各地域から発生した有機性廃棄物をバイオマス資源とし、下水処理場にて再資源化ゃェネルギー化する取り組みが行われている。筆者らはこれまでに、底泥を有機物資源として位置づけ、水環境からの除去とコンポスト化を目的に、乳酸菌による底泥の嫌気性発酵実験を実施してきた。その結果、底泥TCの分解と乳酸菌数の維持が確認され、底泥に対する乳酸発酵の適用可能性が示された。しかし、分解と共に有機酸によるものと予想される臭いの発生が確認され、最終産物の利用方法に課題が残った。そこで、本研究では有機性廃棄物のエネルギー化で広く実用化されているメタン発酵に着目し、メタン発酵槽への底泥の投入が発酵効率に及ぼす影響を検証した。