HAPS システムにおけるフットプリント固定のためのサービスリンクアンテナの検討

摘要

成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末 (UE)と直接通信する携帯通信サービスは、サービスエリアの拡大、災害時の通信手段として非常に魅力的である。HAPSの基本構成を図1 に示す。HAPSの通信回線はGW局とHAPS間を結ぶフィーダリンク、HAPSとUE (User Equipment)間を結ぶサービスリンクから成る。サービスリンクにおいて十分な通信キャパシティを確保するためには、1 つの機体で複数のセルを構成する複数セル構成が前提となる。しかし、HAPS は成層圏での気流や気圧の影響により姿勢や位置が変動するため、図2 (a)に示す通り複数セル構成では地上に形成されるセルのフットプリントが移動することでエリア内の多数のUE が一斉にハンドオーバ (HO)することが想定される。このためHO による制御信号の増加や、HO 失敗による通信断が課題となる。この対策として、図2 (b)に示すようにフットプリントが移動しないようにHAPS のサービスリンクアンテナにディジタルビームフォーミング(DBF)を適用する方法が検討されている。本稿では、特にヨーイング(機体の上下を軸とした回転運動)によるフットプリントの移動に耐性のあるアンテナ構成及びDBF 制御を提案する。