２０１９年台風第１９号における鬼怒川上山川地区堤防とその周辺における地下水動態に関する調査検討

摘要

本報告では，上山川地区堤防とその周辺における面的な地下水動態を把握するため，これまでの観測体制2)に，ボーリング調査と圧力式水位計を追加し，更に流向流速測定を実施した．この結果，高圧力帯水層を形成する要因となる地下水供給源として，堤防裏側台地に加えて，埋め戻された旧河道から帯水層への地下水供給が新たに把握でき，外水による堤防への影響は無かった．堤体基盤層の地下水は，土砂が流動するような流速ではなく，堤防に影響を及ぼすものではなかった．しかしながら，高圧力帯水層が堤防に与える影響を払拭できていないことから，面的な基盤土質構造と地下水動態に関する更なる調査検討課題を以下に整理した．