江の川におけるオオカナダモの繁茂がアユに与える影響の検討

摘要

オオカナダモ Egeria densa（図-1）は，南米原産の外来沈水植物であり，日本への移入は植物生理学の実験植物として導入されたことがはじまりである．1940年代に山口県において野生化が確認され，1970年代に琵琶湖で大規模に繁殖したことで問題視されるようになった ．本種は，環境省外来生物法において重点対策外来種に指定されており，生態系への被害が懸念されている．国内には，雄株のみが帰化しており ，生殖様式は切れ藻による栄養繁殖で，流水域及び止水域問わず容易に分布域を拡大する性質を持つ．オオカナダモは，従来，湖沼やため池，水路などの滞水域を中心に繁茂していたが ，近年河川本流でも繁茂している事例が報告されており ，これに伴う河川の景観悪化や枯死藻体による水質悪化，クロモなどの在来沈水植物との光を巡った生息場の競合により河床付着性藻類の生育を妨げ，その結果水産有用種であるアユ Plecoglossus altivelis altivelis の餌場を劣化させるなどの問題を引き起こしている ．